ネット依存対策の難しさ
ネット依存は、オンラインゲームが普及し始めた時期から話題にはなっていますが、その後、具体的に何か対策が講じられているという話は出てきません。
数年が経過し、スマートフォン(以下「スマホ」)時代になっても具体的な対策は出てきませんが、ネット依存に関しては深刻化してきているように感じます。
スマホの普及でネット接続環境が非常に手軽で便利になりました。パソコンを持ち歩いたり、起動の待ち時間なく、いつでもどこでもネットに繋がる環境が手に入ったからです。
便利になった一方で、これまではオンラインゲームなど一定のユーザーがネット依存対象者だったのが、スマホ利用者の多くがネット依存対象者、いわゆる「スマホ依存」の対象者になってしまいました。
スマホの爆発的な普及に対し、「誤った使い方」についての教育が皆無です。子供についてはセーフティ教室や情報モラル教室など年に一度とはいえ学習機会が与えられていますが、大人は子供の学習機会に同席するか、自ら調べない限り「誤った使い方」について学習する機会がない状態で使っています。
これで問題が起こらない、拡大しない方が不思議な環境と言えます。
子供達の誤った使い方による不幸な事件や事故は一定数ありますが、それ以上に大人が誤った使い方をして問題を引き起こしている実態にもっと目を向ける必要があるのかもしれません。
依存に関しても、子供よりも大人方が問題でしょう。
本来、家庭で子供を指導、監督する役割の保護者自らが依存状態になっているケースもあります。
親が依存状態で子供に依存症にならないように指導、監督するというのは、「タバコを吸いながら、タバコは体に悪いから吸っちゃダメだぞ!」というお笑いの構図です。
大人が誤った使い方を知らない、指導できないとなると、子供はどうすればよいのでしょうか。
多くの子供達は大人を反面教師にしていることもあります。政治家が不人気なのは典型的な例でしょう。
一方で、大人がやっているのだから、親がやっているのだから、親に注意されないからという環境で生活していたら、一線を越えてしまうことも増えるでしょう。
トラブルにならない、依存症にならないのはたまたま運が良かったからであり、いつ誰がトラブルに巻き込まれる、依存症になるかわからないような状況で使用するという環境は変えていかないといけないのではないでしょうか。
この手の教育、学習機会の提供の難しさは、変化が激しいことと、教育や学習機会提供のための予算も十分にないこと、通信事業者やサービス提供事業者の利益と短期的に相反するという難しがあります。
適切に利用されると儲からなくて困るという会社も出てくるでしょうが、長期的には適正利用ユーザーが増える方が社会としては健全であるので、思い切って不適切利用者のネットワークを遮断して治療するような施設を全国に展開することも必要なのかもしれません。
ネット依存症(スマホ依存症)は、アルコール依存症や薬物依存症と同様の症状になるということが言われており、実際にネット依存の治療ができる施設は、アルコールや薬物依存の治療を専門に行っている医療機関、医師です。
スマホ依存は歩きスマホを誘発し、ネットストーカーや体調不良など様々な問題も引き起こす原因でもあります。
遅すぎるという事はありません。ネット依存対策に本気で取り組むことが必要なのではないでしょうか。