子供が親に相談しない理由
子供が親に相談しない理由
子供が親に相談しない理由には以下のようなものがあります。
- 「親に相談したら怒られるかもしれないことをやったから」
- 「親に心配させたくないから」
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「親に聞いてもわからないと思うから(一度、質問した際に疑問を解消するだけの回答が得られなかったから)」
一つ目は誰もが心当たりのあることでしょう。子供時代を振り返ってみれば。
二つ目は親が知らない子供心ですね。優しさとも言えますが、相談できない関係は良い親子関係とはいえませんが、親心としては複雑なところでしょう。
三つ目は深刻な問題を引き起こす可能性があります。
子供が親に相談してみたものの「自分の親では問題を解決できない」という認識になってしまっているということです。
解決してもらえない人に、相談はしないものです。
相談してもらえるようになるために
問題の早期解決には早期発見、相談が欠かせません。
IT業界に身を置いていると否応がなしに新しい情報にも触れますし、新しいサービスが出たらとりあえずやってみるということが習慣になっている人もいるでしょうが、自分の専門や興味領域以外のことまではなかなか頭が回りません。
一方、子供達のモノゴトの吸収スピード、自分たちの使いやすいようにアレンジメントしていく能力は天才的です。
そうなると「子供の質問に答えられない」という事態は起こってきます。
しかし、調べることはできるはずです。わからないことを「わからない」で済ませてしまうのではなく、調べて答えるということをすることが大切です。子供と一緒に調べても良いかもしれません。
「そんなことわからないよ!」で終わらせるのではなく「自分も知らなかったことだから一緒に調べてみようか」という一歩踏み込んでみると親子関係も変わるかもしれません。
我が家では(IT関連に限らず)子供の質問に答えられない時は、一緒に調べるということを実践しています。
これをやっていると、わからないことがあった時に聞いてくれるようになります。とりあえず聞いてみるか・・・と。
子供にとっては辞書で調べるよりも早いからということかもしれませんが、理由はどうであれ聞いてもらえるようになることが問題の早期発見、解決には重要です。
何かあった際に親に話しやすい環境を日頃からつくっておくことは親としての責任ではないでしょうか。
ネット依存対策の難しさ
ネット依存は、オンラインゲームが普及し始めた時期から話題にはなっていますが、その後、具体的に何か対策が講じられているという話は出てきません。
数年が経過し、スマートフォン(以下「スマホ」)時代になっても具体的な対策は出てきませんが、ネット依存に関しては深刻化してきているように感じます。
スマホの普及でネット接続環境が非常に手軽で便利になりました。パソコンを持ち歩いたり、起動の待ち時間なく、いつでもどこでもネットに繋がる環境が手に入ったからです。
便利になった一方で、これまではオンラインゲームなど一定のユーザーがネット依存対象者だったのが、スマホ利用者の多くがネット依存対象者、いわゆる「スマホ依存」の対象者になってしまいました。
スマホの爆発的な普及に対し、「誤った使い方」についての教育が皆無です。子供についてはセーフティ教室や情報モラル教室など年に一度とはいえ学習機会が与えられていますが、大人は子供の学習機会に同席するか、自ら調べない限り「誤った使い方」について学習する機会がない状態で使っています。
これで問題が起こらない、拡大しない方が不思議な環境と言えます。
子供達の誤った使い方による不幸な事件や事故は一定数ありますが、それ以上に大人が誤った使い方をして問題を引き起こしている実態にもっと目を向ける必要があるのかもしれません。
依存に関しても、子供よりも大人方が問題でしょう。
本来、家庭で子供を指導、監督する役割の保護者自らが依存状態になっているケースもあります。
親が依存状態で子供に依存症にならないように指導、監督するというのは、「タバコを吸いながら、タバコは体に悪いから吸っちゃダメだぞ!」というお笑いの構図です。
大人が誤った使い方を知らない、指導できないとなると、子供はどうすればよいのでしょうか。
多くの子供達は大人を反面教師にしていることもあります。政治家が不人気なのは典型的な例でしょう。
一方で、大人がやっているのだから、親がやっているのだから、親に注意されないからという環境で生活していたら、一線を越えてしまうことも増えるでしょう。
トラブルにならない、依存症にならないのはたまたま運が良かったからであり、いつ誰がトラブルに巻き込まれる、依存症になるかわからないような状況で使用するという環境は変えていかないといけないのではないでしょうか。
この手の教育、学習機会の提供の難しさは、変化が激しいことと、教育や学習機会提供のための予算も十分にないこと、通信事業者やサービス提供事業者の利益と短期的に相反するという難しがあります。
適切に利用されると儲からなくて困るという会社も出てくるでしょうが、長期的には適正利用ユーザーが増える方が社会としては健全であるので、思い切って不適切利用者のネットワークを遮断して治療するような施設を全国に展開することも必要なのかもしれません。
ネット依存症(スマホ依存症)は、アルコール依存症や薬物依存症と同様の症状になるということが言われており、実際にネット依存の治療ができる施設は、アルコールや薬物依存の治療を専門に行っている医療機関、医師です。
スマホ依存は歩きスマホを誘発し、ネットストーカーや体調不良など様々な問題も引き起こす原因でもあります。
遅すぎるという事はありません。ネット依存対策に本気で取り組むことが必要なのではないでしょうか。
子供にスマホ いつから持たせる?
親の悩み
スマートフォン(以下「スマホ」)の普及著しい社会になり、小学校高学年、中学生の保護者はもちろん、幼稚園や小学校低学年の保護者も「我が子にいつから持たせるのが適切か?」「子供用携帯/スマホと通常のスマホどちらがよいのか?」という悩みを持つ人が増えているようです。
講演会などでもこの手の質問はよく耳にしますし、事前アンケートではフィルタリングの話と合わせてニーズが高い質問事項です。
いつから持たせる?
さて、いつから、何を使わせるか?
唯一の答えを示せということになると、「人それぞれ、家庭の状況によって異なるので『保護者が持たせる必要があると判断した時』」という答えになります。
「えーーー!それじゃ解決しない!」という反応が見えますが、答えを一つと言われれば、このように答えるしかありません。
各家庭には教育や通信機器保有に関する方針があり(方針なんかないよという家庭もあるかもしれませんが何かしら考えてはいるでしょう)、家庭の環境があります。
環境として通信機器を持たせた方が良い家庭環境、必要性はない家庭環境など様々です。親の心情に加えて子供の生活環境にも依存します。
と言っていると問題解決しませんので、ではどうすればよいかという話に移ります。
判断のポイント
まずはご自身の家庭の方針や環境などの状況整理がポイントとなります。
分かりやすく言うと「我が家では高校生までは携帯/スマホは持たせないことにしている」「我が家ではICTリテラシー教育の観点から小学生低学年かた持たせて使わせる」など何かしら考えていることがあるでしょう。この考えがいわゆる「家庭の方針」で基盤になるものです。この方針を前提に、以下のような項目を考えて総合的に判断することになります。
- 「(子供が欲しがっている場合) 今、欲しい理由は何か?目的は何か?」
- 「(親が持たせた方が良いと感じている場合) 今、持たせたい理由は何か?目的は何か?」
- 「今、子供に持たせる必要性(必然性)があるのか?ないのか?本当に必要か?不要か?」
- 「今、子供に持たせた場合、どこまで使いこなせるのか?どこまで制御する必要があるのか?その状態で持たせて大丈夫か?」
- 「家庭の事情は大丈夫か?毎月の利用料負担は大丈夫?一定の管理監督対応はできるのか?)」
更にブレイクダウンすると「習い事から帰る時間が遅いが、持たせた方がよいのかどうか?」「友達との関係性においての必要性があるのか?必要性を感じる状況か?」ということまで考えることが大切です。
これらの要素から総合的に保有の判断をするのです。従って、答えは一つではありません。子供の数だけ答えがあるということであり、万人に対応する正解というものはないのです。
「保護者が持たせる必要があると判断した時が持たせる時期(タイミング)」です。
どのような機能・サービスを使わせるか?という質問も同じです。
「保護者が必要と判断した機能・サービスを使わせる」ということです。
保有と利用の一点大きな違いは「保有の判断は保護者の判断」で良いのですが、利用は「子供と一緒に考え、話し合った上で決める」ということが重要になってきます。
利用に関しては「ルールづくり 」を参考にしてみてください。
補足:もしわからないことがあったら
わからないことがあったらご遠慮なくご質問ください。
時間をいただくことがありますが質問には必ず回答差し上げます。
ルールづくり
「ルールをどうやってつくったらよいかわかりません」
「どのようなルールにすればよいかわかりません」
よくある質問です。
ルールづくりの流れとポイントをお伝えします。
ルールづくりの流れ
- 目的・目標明確化
ルールをつくる目的は「子供を守るため」です。そのために必要なことをルールとして決めることがポイントです。
目標は家庭環境と子供の生活や利用実態に即した内容とすることが必要となりますので、「2.情報整理」と共に考えていけばよいです。
基本は目的をぶらさず、目的からブレイクダウンできる目標とすることです。
ルールをつくることが目的ではありません。 - 情報整理
ルールが必要な理由と制限する必要のある機能を整理します。
各家庭の教育方針(保護者の考え)、機器の普及状況や流行りのサービス、トラブル発生状況の実態、子供の性格や興味、ICTリテラシー、生活環境により定めるルールの内容は変わります。
それぞれを項目として整理することで、どのようなルールが必要なのかということが見えてきます。同時に子供の興味領域を知る機会にもなりますので、子供とコミュニケーションを取る機会と捉えて活かしてください。 - 対話・調整
子供との相互理解と建設的な話し合いをすることが実効性のあるルール作りにつながるため、子供との対話や調整という作業は重要になります。
前提となる基本条件やルール設定の目的などは説明し(小学校高学年であれば概ね理解できます)、身を守るためのフィルタリングの設定(利用)やこれから決めるルールの定期的な見直しを前提として、子供との対話の中から今、必要なことを洗い出します。
子供との対話に際し、大人の姿勢・心構えとして大切なことは、「傾聴スタンス」、「常識を疑う」、「共同作業(親子一緒)」の心構えです。 - ルールの作成
ルールをつくる際には、利用シーン(6+1)に応じた具体的なルールを作成することが大切です。
自治体や学校単位で設ける「共通ルール」には限界があること理解し、家庭の事情を勘案した家庭の個別ルールで子供の安全を守れるようにします。
ルールづくりのポイント
ルールづくりにおいて「利用シーンの6+1」を意識するとルールづくりがしやすくなります。
「使っても良い○○(下記の①〜⑤)」、「使ってはいけない○○(同)」という形で考えるとイメージを持ちやすいと思います。
①時間 = いつ・何時
②場所 = どこで
③相手 = 誰と
④機能 = どのような(アプリケーション・サービス等)
⑤使い方 = どのように
⑥緊急時 = どうする(緊急・トラブル時の相談者・対応法)
+1 = ペナルティ = ルール違反時にどうする
成長に応じて見直しをする前提ですので、現時点での子供の知識やリテラシー(どの程度使いこなせるか)で必要なルールを考えることがポイントです。
小中学校の保護者向け講演でお伝えしていることですが、大人も決めた方が良い人も大勢いますけどね・・・。
参考にしていただければと思います。
常識は非常識
「大人の常識、子供にとっては非常識」
教職員研修や保護者向けの講演会で必ずお伝えしていることです。
「自分が学生(子供)の頃は・・・」この言葉が出てきたら危険信号です。
社会は変化しています。その変化を無視して過去の自分の体験や経験からだけ物事を見てしまうと、コミュニケーションギャップが生じます。そして判断を誤ります。
大切なのは今、目の前の現実が何かということです。
ビジネスにおいても正しい答えを導き出すには「ファクトベース」、事実に基づいて考えることが大切であるという考え方がありますが、情報モラルやリテラシー教育においても全く同じです。
今の子供社会の現実を見ずに、数十年前の自分の子供時代の常識から考えても実態に即した答えが出てくることはありません。
トラブル発生時の的外れな対応をしている学校などは、恐らく自分たちの常識でやっているのでしょう。そのような対応では炎上しても、トラブルが拗れても仕方がありません。しかし、そのことで子供を死に追い詰めたり、将来にわたって心理的障害を負わせてしまう場合は、仕方がないでは済みません。いじめ問題で呆れた対応をする学校などは典型です。
まずは一旦、自らの常識という殻を壊し、今、目の前で何が行われているのか、どのような構造になっているのか、どのような人間関係になっているのかという現実(事実)を真摯に見ることです。そこに自分の思い込みを入れる余地はありません。
「常識は非常識」であるという前提で向き合うことが、トラブルを拗らせたり複雑化させない基本的な対応の一つです。
大人も子供も同じ
スマートフォン(以下「スマホ」)が日本で一般的になったのは国内3キャリアからAndroid端末が複数発売され始めた2010年からです(iPhone 3Gの日本発売は2008年〜)。
スマホの世帯普及率は70%超、高校生の携帯・スマホ保有者のうちスマホ保有率が9割、20-30代も8-9割と言われる普及状況にありますが、6-7年での急激な普及により、誤った使い方や危険性を学ぶ機会ない中で利用者が急増している状況です。
「子供向けにスマホの危険性を教えて欲しい」という要望がありますが、子供だけではなく、大人も実はよくわかっていないという実態が大きな問題です。本来であれば、子供達に誤った使い方や危険性を伝えるべき立場の大人が、誤った使い方や危険な使い方をしているからです。子供たちは大人のそういう行動をよく見ています。
事件事故のニュースが流れていると何となく「気をつけよう」とは思うことがあったとしても、まさか自分がやってはいけない見本だったという笑うに笑えないこともあります。
子供だけではなく大人も同様のリスク環境にいることを理解し、子供と一緒に学ぶ姿勢で向き合うことが予防や問題解決の第一歩になります。
全ての問題は人に帰する
携帯・スマートフォンは通信やコミュニケーションのための道具であり、手段です。
問題が発生すると道具そのものを悪者扱いする風潮がありますが(特に報道において)、問題の本質はそこではありません。従って、道具を使うことを禁止することは本質的問題解決には至りません。
道具を使う人の意識・倫理観・リテラシーに難があるからトラブルが発生するということを理解すると、トラブル発生の原因が見えてきます。原因が見えてくれば対策も見えてきます。
LINEでトラブルが起こるとLINEの利用を禁止したり、規制したりしようとしたりしますが、根本的な問題解決方法としては誤りです。
全ての問題は使う人の道具の使い方に起因しており、トラブルを引き起こすのは使い方次第であるという観点から、防止策や指導をしていくことが大切なことです。