五里霧中に一筋の光を - ひかりば -

きまぐれコラム・社会の疑問や講演ネタの紹介など

知らずに利用が最大のリスク

何も伝えずに使わせて、何か問題が起こった際に「知らなかったから仕方がないよね。次気をつけようか」と我が子を目の前に平然と言えますか。

犯罪行為であれば相応の社会的制裁を受けますし、未成年であれば代わりに保護者が責任を負うことだってあるのです。それでも「仕方ないよね」と言えますか。

危険性を知らずに使うこと自体が大きなリスクであるということをまず大人が理解し、大人がリスクを知ることから始めることが大切です。知らないことを教えることはできないのですから。

 

スマホが一般に普及し始めたのが2010年頃、以降、10-20代を中心に急速に普及し、今では生活の一部になっていたり、なくてはならない道具になっている人も出てきています。

iPhone登場から使っているような人はリテラシーもそこそこ以上のため問題は少ないのですが、2010年以降に使い始めている人たちの多くは、危険性を知ることなく使っていますし、子供に使わせています。

注目するのはたまに事件や事故のニュースが流れた時か、我が子がスマホ依存のような状況になっていたり、ネットいじめ問題が子供の通う学校で発生したときくらいではないでしょうか。

自分が知らないことを人には伝えられません。

まずは大人、保護者自身が知ることから始めなければいけない状況にあるにも関わらず、そこをすっ飛ばして子供達の教育に熱心になってしまうという違和感は何なのでしょうか。

危険性や問題点を知ることで、9割以上の子供達はその行為をしなくなります。もしくは使うときに気をつけるようになります。

子供は大人が思うほど馬鹿ではありません。自分に不利益が生じることがわかっていることをあえてやる子供は1割弱でしょう。どういう不利益があっても一定数はやってしまうというのも現実です。

危険であること、問題であること、自身に不利益が生じることを知らなければやってしまっても仕方がありません。やってしまったことを悔やんでも仕方がありませんが、「なかったことにはできない」という点を理解しておくことが大切です。

子供への教育は年に1回程度ではありますがセーフティ教室という形で学校が主体となり実施されます。大人への教育は基本ありません。それでいいのでしょうか。

スマホ問題は手軽に使えるからこそ起こっている問題とも言えます。

手軽に使えるものに大きな犯罪リスクが潜んでいることをもっと理解した上で子供に持たせ、見守ることが必要なのではないでしょうか。

道具と言葉をいかに使うか

「道具と言葉をいかに使うか(使いこなすか)」

情報モラル講習において、必ず伝えなければいけないポイントです。

小中学校のセーフティ教室では、道具の使い方として「包丁」を引き合いに出すのですが、「スマホという道具でも使い方次第では人を殺せてしまう」という少々ドギツイ話をアイスブレイク後の少しのほほんとした状態の時に伝えてから詳しい解説に入っていくようにしています。

スマホはあくまでもコミュニケーションや情報収集、娯楽の道具でしかありません。

使い方さえ誤らなければ、非常に便利な道具であることは間違いありません。しかし、誤った使い方に関する教育は殆どなされていないのが実態です。

当初は「道具をいかに使うか」ということにフォーカスを当てていたのですが、トラブルの多くがコミュニケーションに起因することが多いため、最近は「道具と言葉をいかに使うか」ということに改めました。

熱心な家庭では購入時、使用開始時に話し合いをしているのですが、何の話し合いもなく買い与えているだけの家庭も3-4割程度あるという調査結果もあります。

<参考>

青少年の携帯電話・スマートフォン等の利用等調査結果|東京都

インターネット利用「ルール決めていない」家庭は約4割 | リセマム

 もっとも大人も使いこなせていないので、子供の周りに悪い見本が溢れており、悪い見本を見せておいて指導をしようがないという実態もあったりします。

<参考>

20~30代の男性会社員200人を対象にアンケートを行った。(協力/アイリサーチ)
<経験したことのあるスマホに関するトラブルTOP10>※複数回答
1位 肩こりや睡眠不足など、スマホの利用しすぎによる体の不調 14.0%
2位 ゲームアプリなどへの過剰な課金 13.0%
3位 LINE既読スルーなどによる人間関係の悪化 11.5%
4位 SNS上に投稿した内容による人間関係の悪化 8.5%
5位 LINEやFacebookなどを使わなかった結果、人と疎遠になった 7.0%
6位 スマホの紛失による個人情報流出 4.5%
6位 仕事中のSNSやゲームがばれた 4.5%
8位 個人情報を抜き取られるなど、不正アプリによる被害 4.0%
9位 SNS上に投稿した内容の炎上 3.5%
9位 架空請求被害 3.5%
※番外
スマホにまつわるトラブルは起きたことがない 57.5%
出典:スマホゆえのトラブル経験TOP10 | R25スマホ情報局

 

 保護者同士のLINEのやり取りで学校の先生の噂話を回していたり、その噂を基に学校に問い合わせをしてきたり、他の保護者の悪口を言い合っていたりするのですから、笑うに笑えません。その親のLINEをやっている姿を子供は見ていて何を思っているのだろうか・・・と。 

<参考>

ママ友トラブルの大きな原因の1つ、SNS!あなたは大丈夫?失敗談紹介 [ママリ]

 

 最近学校に「ぜひ強化してくださいね」と伝えているのが「保護者向けの教育機会の提供」や「情報提供」です。コンテンツ探しが大変なようなので、研修データは全て学校に提供し、使えるものは使ってもらうようにしています。

一部ひかりば公式サイト上でも勉強会で使える資料を公開していますので、教育目的での活用であれば自由に転用してください。学校で使用するに際しては特に許諾などは必要ありません。

資料だけ見てもちょっとわからないので解説して欲しいという場合もお気軽にお問い合わせください。

道具と言葉を使いこなせるようになるための基礎は「道徳観」にあります。

子どもの世界をあれこれ言う前に、大人の世界の「道徳観」を見直す必要があるのかもしれません。

(スマホ利用) 犯罪と表裏一体

今回、スマートフォン利用は「犯罪と表裏一体」、自分が加害者(犯罪者)になる可能性があるということをご紹介します。

もちろん、「道具の使い方によっては」という前提ですので、あらゆる道具や行為言えることですが、「危険性を知らずにスマホを利用する状態」は、非常に犯罪に近い環境にいると言えます。

保護者が子供にスマホを持たせる際、そのような教育をしているでしょうか?教育機関ではそのようなことを学ぶ学習機会があるでしょうか?

スマホは便利で楽しいコミュニケーションツール(道具)ですが、一歩間違えると他人に迷惑をかけたり、人の心を傷つけることもあります。最悪、ネットいじめに起因する自殺のように人の命を奪うこともあります。

子供達には「スマホで人が死ぬこともあるんだよ」とストレートに伝えることにしています。

車や自転車などと異なり、法的な制約が殆ど無い環境で使用できる道具ということもあり、多くの家庭や教育機関では、何が問題行動なのかということを教えたり学ぶ場を設けたりということは少ないでしょう。小中学校ではセーフティ教室等で学ぶ機会は増えてきていますが、大人はそういうことを学ばずに使っているのが実態です。

使っている本人は単に娯楽として楽しんでいるだけだったり、興味本位の悪ふざけのつもりだったりと気軽な1アクションとしてしか考えていないことが、実は重大な犯罪行為であったり、自らの身を危険に晒してしまう行為であるということは意外によくあることです。

<関連ニュース>

 スマホは小さく便利な道具(コミュニケーションツール)ですが、犯罪に近い環境に置かれるということを意識せえずに親が子にスマホを持たせるというのは、包丁の危険性を教えずに包丁を持たせたり、無免許状態で車を運転させることと同じレベルです。

もっとも、特別な教育、学ぶ場というよりも、コミュニケーションツール(道具)を使う際の人としての意識というレベルの話であり、家庭における道徳教育、教育機関においても道徳の範疇に入ることなのですが、なぜかスマホの話だけ別物扱いになっていたりします。何ででしょうかね。

スマホを利用する際には車のように免許は必要ありません。教習所で眠くなるような講義を聞いたり、教習所内や一般道での実技訓練も筆記試験もありません。誰もが簡単に使える便利で楽しい道具である一方で、自分が犯罪者になってしまったり、人の命を奪うかもしれないということを理解した上で使いこなせるようになることが大切なのではないでしょうか。

小・中学生の子供が車を運転したいといっても運転はさせないでしょうが、スマホの場合はホイホイと買い与え、教育もせずに自由に使わせてしまうのが実態であり、問題が起こって当たり前という状況にあるため、学校現場での悩みも尽きないようです。

対策については難しく考える必要はありません。あくまでも道具の使い方、使う人の意識でしかありませんので、使う人が気をつけよう!考えて使おう!と思えるように意識付けするだけです。

そのために、オブラートに包まずに危険であることをストレートに伝えることからはじめてみてはどうでしょうか。

ネットトラブル予防10か条

はじめに

教育機関での講演(情報モラル教室・セーフティ教室等)で保護者や先生方からの要望が多く、子供達にも伝えている(スマホ利用時の)ネットトラブル予防についての内容を紹介します。

保護者や先生方からの要望で多いのが、子供達に「危険性」を教えて欲しいということです。確かに危険なことを知れば、興味本位だけの勢いで無謀なことをしなくなるかもしれません。しかし、一時的な危険性、恐怖を伝えたとしても、子供達は大人と違い応用して当てはめて考えることは難しい場合も多いものです。

教わったことが自分の行動に当てはまるかどうかの判定をするに留まってしまいます。

それでは、「子供達ができるだけ安全に利用できるようにする」という本来の目的を果たせません。それは、本質的に何が問題でトラブルに巻き込まれたり、引き起こしたりするのかということの理解ができていない対症療法でしかないからです。

明文化の効果

本質的な子供達の安全性の向上、現状の問題解決を目指している立場としてはそれでは安全を担保するには不十分であることから、これまで口頭で色々と話してきたことを整理し、明文化(文章化)して紹介することにしました。

明文化されていれば、記録としても残りますし、何より忘れない!(講演のはじめにアイスブレイクで人の記憶の話などしますが、人は基本忘れる生き物です。)

「保護者たより」や「PTA通信」などで折を見て学校や保護者が主体になって伝え広めるということができるからです。

学校で行われている講演などに参加する保護者は意識の高い人が多いという現実もあり、本来伝えなければいけない人に伝わらないという問題も学校側で抱えているため、そういう周辺の問題や学校として何を伝えれば良いのかというコンテンツ面の問題もクリアにできればと考えています。目に触れれば少しは気にもなるでしょう。

前提3ヶ条・予防10ヶ条

前置きが長くなりましたが、前提となる考え方について「前提3ヶ条」、トラブルに巻き込まれない、引き起こさないための「予防10ヶ条を」以下に紹介します。

■前提3ヶ条

◉前提第一条:実社会もネット空間も「良し悪しの基準は同じ」
◉前提第二条:道具は「使い方次第」
◉前提第三条:「人はみんな違う」ことを理解する
(出典:ひかりば「情報モラル教室」講演資料)

■予防10ヶ条

◉第一条:個人情報は投稿しない・送らない
◉第二条:他人の悪口は投稿しない・送らない
◉第三条:感情的な時は投稿しない・送らない
◉第四条:相手がどう思うかわからない前提で送る
◉第五条:見知らぬ人には連絡先を教えない・会わない
◉第六条:無料だからと安易にダウンロードしない
◉第七条:裸の写真/動画は撮影しない・送らない
◉第八条:良し悪しの判断がつかない時はやらない
◉第九条:ルールを決めて使う際の判断基準を持つ
◉第十条:困ったことが起こったら直ぐに大人に相談する
(出典:ひかりば「情報モラル教室」講演資料)

 今回紹介している内容は、スライドとしては「前提3ヶ条」「予防10ヶ条」の2枚ですが、実はこのテーマを掘り下げて話をするだけでも一時間は話ができる内容です。

講演・研修

ご依頼いただく講演の多くは、児童生徒向けは40-45分(小学校45分、中学校50分授業のため)、保護者向けでも40-60分(学校公開日は授業時間、家庭教育学級は大体60分)の時間枠です。

しかし、ご要望される中身は、スマホやネットの危険性を幅広く、最新の状況含めてわかりやすく伝えて欲しいということで、どう考えても3-4時間(180-240分)くらいないと丁寧に話ができないようなご依頼だったりします。

継続的に実施していただく場合は、そのことをお伝えして最低でも90分、できれば120分の時間枠を設けていただくようにしていますが、それでもギリギリです。

もしもセミナーや勉強会を検討されている場合は、内容(テーマ)に合った時間枠でぜひ検討いただければと思います。

過去の講演資料

過去の講演資料の一部はひかりばwebサイト上でも公開していますので、教育目的での利用であれば自由にご活用ください。 

 

五里霧中 -hikariba-」では、講演時の流れなど順不同で紹介していきますが、何となくイメージできるカテゴリーで区分するようにはしておきますので、関係のありそうなものだけチェックしたい方は、カテゴリーから検索してみてください。

 

コラム「五里霧中」とは?

 

五里霧中とは?

  • 五里霧中とは、どうすべきかの方針や見込みがまったく立たないことのたとえ。また、手探りで何かをすることのたとえ」です。

なぜタイトルを「五里霧中」としたのか

  • 情報モラル教育(SNSトラブル予防)、ネットいじめ・人権対応研修、スマホルールづくり講習会等に携わらせていただいている中で、「問題とは認識しているが対策が分からない。どうすれば効果的かが見えない。」という悩みを感じている教職員関係者が多くいることがわかりました。また、コンサルティング業で民間企業の事業プロデュースに関わる中で、社会の変化に伴い様々なマネジメント課題に直面していることを感じ、どちらもまさに五里霧中状況にあると感じました。二つの課題解決のヒントを提供できればという思いで「五里霧中」というタイトルを採用しました。

主なテーマ

  • 主なテーマは以下の三つです。
  • ①教育関連(情報リテラシー・ネットいじめ等):講演や研修の内容を簡単に整理してお伝えしていきます。研修や講演でお伝えしきれなかったことや補足情報、ネタを本コラムを通じてお伝えします。
  • ②マネジメント関連:様々な組織に関わらせていただいている中で独自のマネジメントの考え方をコラムでお伝えします。
  • ③俳句:個人的な趣味です。息抜きで始めた俳句を記録するために当コラムのスペースを利用させていただきます。

まとめて話を聞きたい方

  • 研修や講演という形でお伝えすることは可能です。但し、準備含めて当日(場所によりほぼ1日)の時間的な拘束もありますので有償対応となります点はご理解ください。とはいえ、様々な特殊事情を一切考慮しないというわけではありませんので、こういう特殊事情があるので何とかこういう条件でお願いできないか・・・ということがありましたら、ひかりば公式サイトのお問合せからお気軽にお問合せください。
  • コンサルティング、アドバイザー、カウンセリングをご要望の方は、ひかりば公式サイトのお問合せからお気軽にお問合せください。

個人的な悩み相談

  • 個人対象のお悩み事に関しては、メールメインで対応させていただいております。(ご相談はお問合せフォームより)
  • 個人のご相談いついては、可能な限り無償で相談対応をしておりますが、お返事まで3日程度(土日祝除く)の猶予を頂戴しておりますので、ご了承ください。
  • 法人対応や継続的なメールカウンセリング、対応のアドバイス業務は有償となりますのでご了承ください。
  • 一週間程度経過しても返信がない場合は、システム上のトラブルの可能性が考えられますので、お手数お掛け致しますが、その旨ご一報いただければ幸いです。
  • 事件性が高い、緊急性を要する等のご相談と判断した場合、対面での対応を必要とするセンシティブな内容など、十分な対応ができないと判断される場合は、該当の司法関係もしくは専門相談機関等をご案内する形となる場合がある点はご了承ください。

 

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